週に一度、鍼治療の研究と鍼灸師の研修のために、帯広市の北斗病院へ行っています。
研修には全国各地から鍼灸師の先生がいらっしゃいます。
今回の参加者は
・福田美登利先生(マザーリーフ鍼灸センター)
・須藤るる先生(快気堂鍼灸院白石)
・若林耕先生(快気堂鍼灸院白石)
・谷津祐理恵先生
でした。
谷津先生は初参加です。
北斗病院鍼治療センターの研修風景
研修は、病院の各科から紹介された患者さんに対して、研修鍼灸師が指導役鍼灸師のアドバイスを受けながら実際に施術をするという形で行われます。
何を隠そう、指導役の鍼灸師とは私のことです。偉いんです!というのは嘘で、効果がなかったときや、トラブルがあったときの責任がとれる打たれ強さのみで勤めさせていただいています。
病院内という環境における鍼灸師の挑戦
病院内の施設なので、普段の鍼灸院ではお目にかかれない症状の患者さんが数多くいらっしゃいます。
この研修システムが始まって1年経ちますが、毎回、チャレンジの連続です。
最近は、抗がん剤や化学療法の副作用による痺れの相談が増えています。
痺れに関する鍼治療のセオリーがあるのですが、抗がん剤や化学療法が原因の痺れにはセオリーだけでは太刀打ちできないことが少なくありません。
はじめは苦戦続きでしたが、鍼灸師チームで試行錯誤を繰り返して1年半、効果が出る方法が見えてきています。
今回も、過去三回の治療では効果を感じられていなかった患者さんに、感覚の変化を実感していただくことに成功しました。感覚の変化を実感していただくと、改善の可能性がグーンと上がっていきます。
難しい疾患攻略に必要な要素
難しい疾患で結果を出すには、「正確な見立て、精度の高い刺鍼、患者さんとの感覚の共有」という三つの要素が高いレベルで求められます。
北斗病院の鍼治療センターでは、難しい疾患の患者さんへの施術という研修を通して、この三つの要素を磨いています。
帰り道の大事件
札幌市と帯広市は250kmほどの距離があります。JRの特急で片道二時間半の旅路です。帰りは、この時間を症例検討にあてています。
21時30分頃、症例検討が一段落したところで、私たちの乗る特急スーパー北斗が突然停車しました。
そして「熊と衝突したため、緊急停止しました」というアナウンスが。
熊!!
鍼灸師チーム、みんなで顔を見合わせました。
鹿がぶつかって緊急停止することは良くありますが、熊とは。
続けて入った情報によると、ぶつかったのは我々の前の特急とのこと。線路の安全が確認出来るまで最寄りの駅(新夕張)で停車することになりました。
鹿がぶつかった場合、30分程度で復旧するので、タカをくくっていたのですが、30分ほどして驚愕のアナウンスが、、、。
「処理作業開始まで、少なくとも3時間ほどかかります」
なぜ3時間?そして、作業終了では無く、開始が3時間後?
落胆する我々に、さらなる追い打ちが。
カロリーメイト(チョコ味)と水の支給が始まったのです。
トラウマを乗り越えて
思い返せば1年前、同じ帯広帰りのスーパー北斗が、地震で緊急停止、復旧次第発車しますのアナウンスの後、カロリーメイト(チョコ味)と水が配られたのですが、結局、翌日の朝8時まで列車に閉じ込められた事があり、トラウマになっています。
つまり、カロリーメイト(チョコ味)と水は、「簡単には復旧しないよ」というJR側の隠された決意表明なのです。
絶望に打ちひしがれる私たちに、幸運の天使が舞い降りました。
この日は帯広研修に参加していなかった、札幌鍼灸師チームの川原朋生先生(ひなかた鍼灸院)が深夜にもかかわらず、高速で片道1時間の距離を車で迎えに来てくれたのです。
以前、地震で閉じ込められたときは山本優太先生が助けに来てくれました。そして今回は川原先生が。
本当に恵まれたチームだと思います。
幸運を運んでくるのは、、、おっさん?
幸運は天から降ってくるものでも、神様がプレゼントしてくれるものでもなく、人が運んできてくれるものだと、改めて実感しました。
臨床研修だけでなく、移動でも特別に濃厚な時間を過ごし、鍼灸で世界を救う旅はまた一歩、歩みを進めました。