6歳の息子と二人で、映画「ドラゴンボール超(スーパー)ブロリー」を鑑賞してきました。 1984年の連載開始時は9歳だった私。
その頃は、よもや34年後にドラゴンボールの新作映画を見に行くなんて想像すらできなかったでしょう。
それも息子に誘われて行くなんて。
大人になって見るドラゴンボールは、また違った味わいがありました。
私のドラゴンボール歴
1984年の連載開始時、「アラレちゃんの次は男の子ものか」という感想とともに、私はドラゴンボールを読み始めました。
面白いとは思っていましたが、「ウイングマン」や「バオー来訪者」目当てで購読していたジャンプで、ついでに読む連載マンガのひとつという認識でした。
ドラゴンボールはアニメ化とともに大人気となりました。メジャーなものにはとりあえず牙を剥いておけ病(中二病の一種)に侵されていた私は、ドラゴンボールとは距離を置くようになりました。
このこじらせ具合は「孫悟空ってのがでてくるやつ(マンガ)あるだろ、あれ、おもしれーな」とコメントする父親を蔑んでいたほど、どうかしていました。
ジャンプを買ってくれるのは父親なのに。
30歳を過ぎて、やっと中二病も収まった頃、名作と言われる所以が気になり、もう一度読み直してみました。
当然のことですが、非常に面白かったです。この作品が愛されている理由を痛感するとともに、父親に懺悔しました。
息子のドラゴンボール遍歴
息子のドラゴンボール遍歴は私の目から見て非常に特殊です。
息子のドラゴンボール初体験は、大好きな銀魂でドラゴンボールのパロディを見た時でした。
息子は土方さんがやっていたベジータの決めポーズを気に入って、繰り返し真似していました。
そんなおり、Netflixでドラゴンボール全話が配信されているのを私は見つけました。
男子たるもの、一度は見ておくべき作品です。
息子に見せたところ、初めは夢中になって見ていたのですが、初めのシェンロンが出てくる直前で、「もう見たくない」となりました。
その後、アニメは見ないのに、ipadのアプリ「ドラゴンボールZドッカンバトル」に夢中になる息子。
ストーリーは知らないのにキャラクターには異常に詳しい不思議な6歳児が出来上がりました。
新作公開に合わせて、アプリ内でも宣伝が始まり、息子が映画を見たいと言い出したのです。
25年ぶりの仕切り直し
公開2日目ということもあり、イオンシネマ江別のスクリーン7は、パパと息子の集団でほぼ満席でした。
「ブロリー」というタイトル通り、最強のサイヤ人ブロリー vs 主人公・悟空たちの戦いがメインのお話です。
ブロリーは1993年公開の『ドラゴンボールZ 燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』で登場した敵役です。
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今回の映画の世界では93年の映画の出来事は無かったことになっていて、仕切り直しになっています。
25年ぶりに初登場?となったブロリーですが、昔からとても印象深い敵役だったらしく、映画には今まで4回登場しています。
サイヤ人3人の物語
映画の登場人物は非常に少ないです。中心となる3人のサイヤ人(悟空・ベジータ・ブロリー)の話が大半を占めます。
キャラクターの多いドラゴンボールの世界で、これは英断だったと思います。結果として、話の焦点がしっかりとし、ストレスなく楽しめる作りとなっていました。
話がすっきりしているので、サイヤ人3人の戦う理由を追っていけば、映画のポイントが見えてくると思います。
孫悟空
言わずと知れた主人公です。大人になってマンガを読み返して、最も印象が変わったのが悟空です。
悟空の戦う目的は「負けない」ことです。
戦いは好きだけど、相手を倒すことが目的ではないのです。なので、ピッコロやベジータに勝っても、相手を殺すという選択肢はありえないのです。
結果として、仲間が増えていき、それが地球や宇宙を守ることにつながっていきます。
「武道の目的は、勝つことではなく、負けないこと。そのために鍛える」という教えを、実はごく初期に亀仙人が悟空に授けています。
大人になってこれを発見した時は鳥肌が立ちました。
悟空は、ずっとこの教えを守り続けます。
ドラゴンボールの根底にあるテーマにもなっています。
実力でははるかに上回ってしまった悟空が、亀仙人の弟子ということを大切にしているのは、こういうところにあるのではないでしょうか。
今回の映画も、この思想が貫かれており、エンディングにつながっていきます。
ブロリー
ブロリーは生まれた時から天才的な戦闘能力を持っていました。
そのために迫害されます。
父親は恨みを晴らすため、ブロリーを戦闘マシーンとして育てます。本人は戦いが好きではないのに。
ブロリーの銀河を破壊するほどの力の源は虐げられた悲しみです。
ブロリーの戦う目的は「抑圧と孤独と悲しみから逃れるための暴走」
自分が中学生だったら憧れたであろう強さですね。
一方、子供の時は全く才能がないため追放されてしまったが、思いやりのある仲間に囲まれ、学び、結果的に宇宙最強の戦士となる孫悟空とは全く対照的です。
ベジータ
ベジータの戦う目的は、「勝利と支配」という欲求からでした。
幼児性の高い、言い換えれば純度の高い欲求です。
今回の映画でも、故郷と親が消滅したことを知らされ、「王になり損ねた」ことだけ悔やむシーンで、この部分がうまく描写されていました。
しかし、大人となり、結婚し、子供も生まれ、ベジータは変わりました。
戦う理由が「大切な人を守るため」に変わったのです。最も人間らしく、最も尊い目的を戦闘民族サイヤ人の王子が抱くようになるとは、、。
劇中、フュージョンを悟空に強要され「こんな恥ずかしいこと、死んだほうがましだ」と愚痴るベジータというお約束のシーンがありましたが、妻を守るため、プライドをドブに捨てるベジータの姿に、43歳の私は涙せずにいられませんでした。
息子はこの日一番の爆笑をしていましたが。
まとめ
考えてみたら、劇場で初めてみたドラゴンボールの映画となりました。
「みんなが見たいドラゴンボール」の要素はほとんど満たした上で、映像表現やカメラ割りなど挑戦的な事にもチャレンジしています。
以前はのんびりした展開が代名詞のアニメ・ドラゴンボールでしたが、今回は現代的なバッキバキな高速展開が繰り広げられ、アニメ技術の進化も感じられました。
「勝つことではなく負けないこと」という考え方は、自分の鍼灸の「治すのでは無く、邪魔しているものをとってあげる。そうすれば身体は回復する」という考え方に通じるものがあり、勉強になりました。
しかし、1番共感できるキャラがベジータになるとは、昔は想像もできませんでした。
ベジータが一番常識人に見えちゃうなんて驚きです。比べると、孫悟空って人としてすごく変だよね。
家族のためにかなり無理をしたベジータさんに鍼の施術をしてあげたいと切に思いました。