モデル3が我が家に来てから1年経ちました。以前とは比べものにならないくらい、家族で出かけています。
自動車に興味が無く、運転も出来るだけ避けてきた私が、テスラモデル3を購入したのは、限られた家族の時間を目一杯楽しみたいと考えたからです。この一年は目標を大いに達成しており、テスラ社CEOイーロン・マスク様には感謝の念しかありません。
私ども家族をはじめとして、世界的にEVの利用が増えています。
ノルウェーでは新車販売の7割以上がEVになったとのことです。
一方、日本では新車販売のうちEVが占める割合が0.2%にとどまっているといいます。まだまだ日本では珍しいEV生活、一般的なイメージと、実際の運用には大きな差があると日々感じています。
「北欧ノルウェーで大丈夫なんだから、北国でも大丈夫ですよ。」とうっかり呟くと、「北海道はノルウェーよりも冬の気候が厳しいから別問題だ、EV乗ってたら命を落とすぞ!」との叱責を受けます。
私のような見ず知らずの者に対して、これほど心配して下さるネット民の方々には感謝と畏敬の念を覚えると同時に、一般的なイメージと実際の運用の間の大きな乖離に胸を痛めております。
良い意味でも、悪い意味でも、EVに興味を持つ方に、そのギャップを少しでも埋めて頂きたいと考え、「ノルウェーよりも冬の気候が厳しい」北海道でのEV生活を稚拙ながらコツコツとお伝えさせていただくことにしました。
個人の見解ですので、偏った部分もあると思いますが、生暖かい目で見守っていただけたらと思います。
芦別へファミリードライブ
冬の本格化を予感させる12月中旬、一泊二日で芦別へ、テスラファミリードライブしてきました。
札幌から芦別へは、高速を使って最短1時間40分、片道115㎞の道のりです。
私たち家族のモデル3はロングレンジモデルで、カタログ値で最長540㎞走行可能です。往復しても余裕のある距離ですが、冬は電費(EVは燃費ではなく、電費と言います)が落ちるのと、予報では吹雪になるとのことで、油断は禁物です。
さて、どうなることでしょう。
三笠高校レストランで青春を謳歌
今回の旅で最初に目指したのは三笠高校レストランです。ここは、三笠高校の生徒が調理・接客を担当する、チャレンジングな研修施設です。北海道の良質な食材を使用し、若者達が手間と暇とアイデアを注ぎ込んで作った料理は、予約がなかなか取れない人気ぶりとなっています。
mikasa-highschool-restaurant.com
かねてより、妻がどうしても食べてみたいと言っていたので、スマホをフリックしまくり予約にこじつけました。
我が家は自宅充電のためにテスラのウォールコネクターを設置しています。天候が読めないところもあるので、念のため100%充電にしてドライブに臨みました。
高速道路ではオートパイロット(運転支援機能)をオンにします。これはレベル2の自動運転にあたり、ハンドルから手を放すことはできませんが、ほとんどの運転を車がやってくれます。FSDのオプション付きなので、ウインカー出すと自動で車線変更してくれて、追い越しも出来ます。
オートパイロットは本当に楽です。個人的な感覚ですが、意識を運転に向ける割合が、1/5程度ですむ感じです。心に余裕が生まれ、家族との会話に意識を向けることができるので、家族ドライブの醍醐味を味わうことが出来ます。
エンジン音が無いので、会話がしやすいというのも、聴力が怪しくなってきた40代には嬉しいポイントです。
「魚に腕を喰われた赤髪シャンクスの強さはどらくらいか?」という永遠の命題を家族で討論していたら、私達のモデル3の脇を、青空色のポルシェタイカン(EV)が静かに追い抜いていきました。
高速でタイカンに遭遇するのは、これで2回目です。北海道でもEVが増えてきているなぁと嬉しくなりました。
途中、トイレ休憩を一度はさんで、三笠高校レストランまではほぼ1時間、52㎞の道のりでした。気温は平均3℃。バッテリーは15%消費しました。
寒いと空気の密度が上がり、空気抵抗が増すため、高速道路での電費が悪化します。夏はバッテリー1%消費で5㎞走れたので、ちょっと電費悪いですね。
三笠高校レストランの料理は最高でした。
弾けるような若さを眩しいくらいに放つ高校生達が、一生懸命に料理、接客をするという奇跡。それも三年生は卒業前の最終出勤日という甘酸っぱさ。
みずみずしいアイデアに満ちつつ、地元の食材を活かして丁寧に作られた料理は、思わず笑顔がこぼれてしまう美味しさでした。
ほとばしる青春でお腹を満たされた私たちは、家に忘れた必需品を購入するため、三笠のイオンに寄りつつ、桂沢湖を経由する山道ルートで芦別を目指しました。
モデル3は山道が楽しい
モデル3の山道ドライブはとっても快適です。
モデル3はバッテリーが底に敷き詰められているため、低重心で、コーナリング性能が抜群、峠道のカーブを楽しく安全に攻略できます。
また、EVの特性上、アクセルを踏んだ瞬間タイムラグ無く500馬力相当のパワーをコントロールできるため、上り坂もスムーズ。下り坂は回生ブレーキがあるので、アクセル離すだけで減速できて、とっても楽だし、充電も出来ます。
芦別スターライトホテルに到着
そうこうしているうちに、目的の芦別スターライトホテルに到着しました。
走行距離80.07km、平均気温6.5℃、バッテリー消費は18%でした。
100%だったバッテリー残量は、66%になっていました。
芦別スターライトホテルは「おふろcafé」というコンセプトをもっています。
大自然に囲まれた静かな環境の中、カフェのような空間が広がるホテルで、図書館の如く沢山の本が並び、ゆったりと本を読んだり、飲み放題のコーヒーを楽しんだりすることができます。
さらに、セルフローリュができるサウナ、泉水の水風呂、スイッチを押すとライトが消えて星空が楽しめる露天での外気浴と、サウナ好きにもたまらないホテルです。
おまけに料理が美味しく、料金も高すぎずなので、家族みんなのお気に入りです。
私は、サウナでととのった後、ホテルにあった「名経営者はどこで間違ったのか」という、日産とゴーンさんに関する本を、ゆっくりと堪能しました。
猛吹雪とテスラモデル3
一夜明け、窓の外を見ると、一面銀世界が広がっていました。天気はさらに崩れていき、時間とともに雪と風が強くなっていきました。
お昼までゆっくりとしていこうと思っていましたが、大雪で交通障害もありうると考え、少し早め11時に出発しました。
駐車場のモデル3は雪が積もって大福みたいになっていました。
雪を払って出発です。バッテリー残量は62%でスタートです。
モデル3は雪道も快適です。低重心、タイムラグ無く繊細なコントロールができる500馬力相当のパワー、そしてコンマ数秒で働くトラクションコントロールにより、非常に安定して走ることが出来ます。
また、エアコンはエンジンの廃熱を利用するガソリン車と違って、純粋に電気で動いているので、すぐに暖まるし、温度が安定していて快適に過ごせます。
最低気温-8℃、視界が遮られるような猛吹雪の中、トラックをはじめとする周りの車がスリップする環境で、モデル3はつまらないくらいに安定して走ります。ちなみに、我が家のモデル3ちゃんのタイヤはナンカンという台湾メーカーの安いスタッドレスを履かせています。
一方、車内は、外の風景がスクリーンに映された作り物のように感じるくらい、暖かく快適です。
冬のテスラモデル3、バッテリー問題は?
あとはバッテリーの問題ですが、テスラのバッテリー管理はかなり進歩しています。
バッテリーの状態を常に監視していて、水冷で温度調整をしています。今回のように低温状態で長時間停車していても、保護のため使用領域に1〜2割の制限はでますが、動かないと言うことはありません。走っていると、制限も解除されます。
昨シーズンは-10℃の環境で、何度か車中泊をしました。エアコンつけて、Netflix流しっぱなしで快適に過ごしましたが、そのとき1時間で大体1〜2%のバッテリー消費でした。
「大雪で閉じ込められたらどうするの?」とご心配されるむきもあると思いますが、我が家のモデル3であれば、50%バッテリーが残っていれば、エアコン全開でも24時間以上余裕でもつ計算になります。
まあ、24時間以上閉じ込められるシチュエーションなら、とりあえず車おいて避難したいと思います。
ちなみにJAFの検証だと、ガソリン車は-8℃でエアコンつけると5時間で25%燃料が減るとのこと。
単純な比較はできませんが、「他の車が大丈夫な状況なら、うちの車も大体大丈夫」と個人的には考えています。
個人的には「雪で閉じ込められたら」問題で、ガソリンかEVかというのは本質的な問題では無いと思います。
一番大事なのはドライバーのリスク意識だとおもいます。閉じ込められたとき、ガソリンであれ、電気であれ、残量に余裕が無ければ、高いリスクに晒されます。
閉じ込められないのが、一番ですけど。
テスラの強い味方?日産ディーラー様
ということで、帰りはバッテリーに余裕がありましたが、念のため充電して行くことにしました。一瞬ですが、ホワイトアウトを何度か体験するような吹雪での長距離ドライブ、休憩もとった方がいいですからね。
ということで、日産自動車空知店様で充電させていただきました。
日産様は全国のディーラーに急速充電を設置されています。有り難いことに、日産車で無くても充電させていただけます。長距離旅行の際、日産様が提供するZESP3会員である私は、ちょっとはにかみながらも堂々と日産様の充電器を利用させていただいてます。
空知店はそんな日産様の中でも50kWの急速充電がある、大変ありがたいお店です。
充電スペースに入ると、EVの大先輩であるリーフ兄さんが充電中でした。近隣には日産様がいくつもあるので、「移動しようかなぁ、でも50kWは捨てがたいなぁ」と迷っていると、スタッフの方が走って来て、「充電ですよね。お店の車なのですぐに移動します」と言ってくれました。
札幌日産自動車空知店様で充電🔋させて頂いてます。リーフ兄さんが先約でいらっしゃり、「他に行こうかなぁ、でも貴重な50kWチャデモだしなぁ」と逡巡してたら、お店の人が飛んできてリーフ兄さん移動してくれました。お店の車だったみたい。ここ、チャデモもスタッフも最高かよ! pic.twitter.com/LR10jAZKWz
— 谷地一博 (@sivadxxx) 2021年12月13日
日産様で充電させていただくとき、いつもステキな対応をしていただいてます。EVオーナーとして日産様には足を向けて寝られません。「軽EV・サクラ(仮)」が出たら買わせていただきます(高くなければ、、、)。
50kWの急速充電でしたが、気温が低いためか充電速度は最大39kWにとどまりました。ただ、これでもチャデモ(日本独自の充電規格)としては早い方です。
30分で27%充電できました。距離にして140km分です。これで閉じ込められても安心!?
吹雪の中の自動運転
帰りは岩見沢から高速に乗りました。吹雪でかなり視界が遮られるような状態でした。試しにオートパイロットをオンにしてみたら、意外に行けました。刻々と変わる天候にストレスを感じていた自分よりも、オートパイロットは安定して運転してくれた感じがします。完全に雪が積もって白線が見えなくなると使えませんが、除雪され、ある程度路面が見える高速道路では機能してくれるみたいです。もちろん、リスクがあるのでおすすめしませんが。
視界の悪い結構な吹雪だったけど、オートパイロット問題なく運転してくれたので、随分と楽をさせて頂きました。 pic.twitter.com/2o5axK1i3t
— 谷地一博 (@sivadxxx) 2021年12月14日
悪条件だった割には、疲労も少なく、モデル3のおかげで無事に帰宅できました。
帰り道の走行距離130㎞、バッテリー消費は35%、残量は途中で充電したので44%でした。気温は平均-3.3℃でした。
帰宅したら、家の中が寒かったので、暖房で暖かくなるまでモデル3の中で家族三人Netflixでジョジョを見ながらまったりと過ごしました。
2日間のトータル
走行距離263.89㎞
消費電力 68%
電費 176Wh
平均気温2.59℃
今回は、厳しい天候での良いテストケースになりました。吹雪いたとしても、片道130㎞程度なら、充電無しで一泊旅行十二分に可能です。モデル3のおかげで、家族の思い出がまた増えました。
ありがとうテスラ。ありがとう日産様。