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鍼治療が世界を変えるまでの記録

北海道ホテルのサウナ付き客室「ととのえ」で得た黄金体験

北海道ホテルのプライベートサウナ付き客室「ととのえ」に宿泊してきました。 サウナ部屋サウナとロウリュ

控えめに言って最高でした。

今回は、興奮冷めやらぬ心を落ち着かせる目的もかねて、「ととのえ」での黄金体験をお伝えさせていただきたいと思います。

愛で進化するサウナ

北海道ホテルのサウナは、数年前からサウナ愛に覚醒した社長により、専門家の意見を取り入れた改良が次々となされ、現在、全国でも有数の極上サウナと化しています。

仕事の関係で北海道ホテルのある帯広に毎週出張していた私は、行く度に北海道ホテルの日帰りサウナを利用していました。

訪れるたびに、サウナ好きの心をくすぐる改良がなされ、素晴らしくなっていくサウナを自分のサウナーとしての成長と重ね合わせながら、楽しんできました。

大浴場のサウナがある程度完成すると、次は客室サウナのリニューアルがはじまりました。

元々、北海道ホテルにはサウナ付きのVIPルームがあり、プロスポーツ選手や財界の大物などが利用しているという噂は聞いていました。それを、さらにブラッシュアップしたというのです。4月に完成したとのことでしたが、雲の上のような話として「いつか行きたいな〜」と思うにとどまっていました。

サウナに決める

サウナ部屋に決めた 遠い存在に感じていた「ととのえ」に宿泊することを決心したのは、息子との会話がきっかけでした。

6月のある日、7歳の息子が「パパは(特別定額)給付金の10万円、何に使うの?」と聞いてきました。

小学2年生が親の経済活動に興味を持つことには一抹の不安を覚えながらも、決めかねていた使い道を息子と一緒に考えてみることにしました。

「せっかくだから、家族が楽しめることに使いたいね。そうだ、北海道ホテルの【ととのえ部屋】で、家族水入らずのサウナ三昧を楽しもう!そのためなら10万全額突っ込んでも悔いなし!!」

決心を妻に伝えると、全身で「OKだ」ポーズをしてくれたので、すぐに北海道ホテルの公式サイトで予約を入れました。

旅行サイトで予約すると手数料分ホテルが負担しなければならないと小耳に挟んだので、コロナ騒ぎに負けず頑張っているホテルを応援する心もちで公式サイトから予約しました。

出発前から「ととのえ」効果

予約してからと言うもの、家族で顔を合わす度に北海道ホテルの話題で盛り上がりました。楽しみにしすぎて、息子は祖母にサウナ付きの部屋に泊まることを自慢したそうです。

「こどもなのにサウナは入れるのかい?」と心配する祖母に、息子は「おれ、サウナーだよ!サウナ・水風呂・外気浴、完璧に出来るよ」とのたまったそうです。暑がりなので1分しかサウナは入れないくせに。

それくらい楽しみにして、北海道ホテルに向かいました。

ととのえサウナとの遭遇

札幌から北海道ホテルのある帯広までは高速道路を使って3時間弱かかります。

とにかく、一刻も早く「ととのい」たい私たちは、チェックイン時間15時ピッタリにホテル到着。

期待に胸膨らませ、部屋のドアを開けると、まばゆいばかりの光に私たちは包まれました。 サウナ部屋のベランダ

ベランダ直通の大きな窓から十勝平野の清々しい太陽光が差し込み、北欧系の白っぽい木材の家具で統一された部屋は、その光を柔らかに増幅させていました。

浴室の扉は、フィンランド大使館のような全面ガラスになっています。北欧風のオシャレな浴槽の向こうには、明日まで私たちだけの物になるサウナが。 ととのえサウナ内部

もちろんフィンランドタイプのストーブで、サウナストーンが積まれています。 サウナストーブ

興奮しすぎて、ウレション寸前でしたが、特訓中の水の呼吸に全集中することで事なきを得ました。

焦る気持ちを抑えながら、サウナのスイッチを入れます。暖まるまでに1時間ほどかかります。この時間を利用して、旅の汚れを落とすために、大浴場へ向かいました。

小さなサウナ導師

毎週通っていた大浴場の素晴らしさは言うまでもありません。北海道遺産に指定されているモール温泉の湯は、紅茶のような香りを放ち、強めのぬめり感があって、一瞬で肌をスベスベにしてくれます。

しかし、そんなありがたいモール温泉につかっているのに、ソワソワ感が止まりません。贅沢なモール温泉によるロウリュ、温泉をサウナ室の壁にぶちまけるウォーリュ、サウナ室の床にぶちまけるフローリュによって、しっかり出来上がったオンリーワンのサウナ、近くを流れる川の水がそのまま注ぎ込む水風呂、歩いて数歩で到達できる導線ばっちりの外気浴、普段はそれだけでガンギマリ案件なのですが、どうにも落ち着かず、お尻がムズムズします。その様子をみかねた息子が「大丈夫、俺たちにはマイルームサウナがあるだろ。」と言ってくれました。その姿は、小さな導師、ヨーダのように私の目には映りました。

こうなると、もう我慢出来ません。速攻で部屋に戻りました。

ととのえのサウナは化け物か!?

部屋に戻ると、サウナの温度は良い感じに仕上がっていました。

温度は平均75℃に設定されています。やや低めですが、ロウリュで体感温度を調整できます。サウナは3人ギリギリ入れる程度の広さなので、ロウリュをすると一気に体感温度が上がります。入るのは私たち家族しかいないので、お好みでロウリュし放題です。

さらに、嬉しいことに、部屋にはアロマオイル4種類(マウンテンハーブ・ペパーミント・シトラス・ラベンダー)が用意されています。これをお好みでロウリュ用の水に加えることで、ロウリュとともにサウナにアロマの香が広がります。 アロマとサウナのコラージュ

私は産湯(初めて整ったサウナ)である名古屋のウェルビー榮でペパーミント入りロウリュを体験して以来、いつかもう一度体験したいと思っていましたが、ここで夢が叶うとは。

ペパーミントを加えた水をストーブにかけます。体感温度が一気に上がり、肌から玉のような汗が出ますが、ペパーミントの香りにより、鼻と喉が爽快感に包まれます。これは、ぎもぢぃぃぃ。

私、妻、息子、家族3人で埋まったサウナ。息子がロウリュをすると、アロマの香りのする水蒸気と共に多幸感が家族に降り注いできます。

家族でサウナには入れるなんて、なんてステキな時間なんでしょうか。

ととのえの導線も化け物か!?

非常に高価であろうオシャレな白いバスタブを水風呂として使います。普段なら汗を洗い流してから水風呂に入るべきですが、ここは私たち専用、気兼ねなくサウナから直行で水風呂にダイブできます。これが、また気持ちいぃぃぃぃぃ!!!

そして、バスタオルが「これでもか!」という程用意されていて、ありがたい限りです。しっかりと拭き取ったら、ベランダで外気浴。

個人的にサウナで最も重要視しているのが外気浴なんですが、ここの外気浴は別次元の体験でした。

水風呂から2歩で外に出られる導線。素晴らしい感触の「ととのい椅子」。開放感たっぷりの初夏の空。吹き付ける十勝平野の爽やかな風。 サウナの外気浴はととのえいす

全裸で横たわりながら、「これ以上、何か必要なモノがあるだろうか、どんな高価な買い物よりも、贅沢だ」と感じました。

止まらないルーチーンが引き起こした問題

その後は、もう止まりません。ルーチーンをサルのように繰り返します。

息子が熱波師役を買って出てくれて、ロウリュとアウフグースをしてくれます。自分の好みとしては、優しい風に包まれたいのですが、必死の形相でタオルを振り回してくれる息子が可愛くて、強めの熱波を楽しみました。

ここで困ったことが起きます。当初の予定では、夕方のサウナを楽しんだ後、帯広の町を軽く観光する予定でした。しかし、出来るだけ部屋にいたい、可能な限りサウナに入りたいという気持ちが抑えきれなくなってしまったのです。妻と息子に聞いてみると、全く同じ気持ちだとのこと。そのため、急遽観光を取りやめ、テイクアウトで夕飯を買ってきて部屋で食べることにしました。

超特急で夕飯を済ませると、息子がすぐに服を脱いでサウナに飛び込んだので、私たちも続きました。

今度は、アロマの種類を変えたり、組み合わせてみたりして楽しみました。

自然という最大のヒーリングシステム

時間が経つごとに、外の様子が刻々と変わります。普段は気付かないような自然の移り変わりに心打たれます。

暗くなってきたので、ベランダにあるアルコール暖炉に火をつけました。 アルコール暖炉 揺らめく炎を眺めていると時間を忘れます。

ここの外気浴のもっとも素晴らしい点は、木の葉です。

部屋の横に大きな木があります。私たちの部屋が6階にあるので、高いところにある木の枝や葉っぱが、凄く近くにあります。 木々のささやき

風に揺れる木の葉の様子がしっかりと見え、音も地上よりもはっきりと聞こえます。

ととのえ椅子に横たわりながら、揺れる木の葉を見ていると、なぜか深く深くリラックスしていくのを感じます。

風に揺れる、何千枚という木の葉。単純な物理法則に支配されながらも、木の葉の揺れ具合は多種多様で、宇宙の無限の広がりを感じさせてくれます。そんなフラクタルな混沌と調和の波は、どこまでもどこまでも深く心地よい世界へ、私たちを連れていってくれます。

この日の深夜、私は45歳になりました。昼間は晴天でしたが、夜は小雨が降りました。ととのい椅子で肌に浴びる小雨は、シャンパンによる祝福のようにも感じました。こんな贅沢な誕生日は45年間で初めてです。

一夜明け、欲するのはやはりサウナ

ホテルのサービスでアイマスクをいただきましたが、使用する間もなく泥のように眠り、朝5時に目が覚めました。

北海道ホテルは5時半から朝サウナとして大浴場が使えます。朝サウナを体験するため大浴場に行きましたが、部屋に戻るとすぐに部屋のサウナへ。

朝の外気浴は、鳥の声が近くで聞こえて、とても清々しくなります。

朝食はホテルのレストランで食べました。十勝の素晴らしい素材を活かしたメニューでしたが、心はサウナのことばかり。部屋に戻るなりサウナに入りました。

結局、チェックアウトまで合計13セット堪能してしまいました。入りすぎでダルくならないかと心配もありましたが、アロマ効果なのか、ダルさもなくスッキリとした気分が続きました。

涙の約束

息子が「帰りたくない」を連発しましたが、「また、絶対来るから」と説得し、涙を飲んでチェックアウト。

家族みんなでサウナに耽溺した至福の2日間。もちろん、それなりのお値段はしますが、それを遥かに超えた至福な時間を手に入れる事ができました。まさに黄金体験と呼ぶにふさわしい2日間でした。

「月に1度は泊まりたいね」と妻と息子に言われ、それを目標に頑張ろうと心に誓いました。

サウナを与えてくれた北欧の神々と北海道ホテルに感謝しながら、私たちは思い出に満ちた十勝平野を後にしました。

www.hokkaidohotel.co.jp