”ベッドは我々の全生涯を包む。というのは、我々はベッドで産まれ、生活し、そこで死ぬのだから。”
モーパッサン（1850~1893)
ベッドは紀元前３２００年頃のエジプトが起源だと言われており、その様子は壁画で確認できます。日本では、正倉院に奈良の大仏を作った聖武天皇のベッドが保存されています。聖武天皇のベッドはシングルベッドで、お妃のシングルベッドとくっつけて、二人で仲良く寝ていたようです。８世紀の日本でも、ベッドは愛と平和の象徴だったのかもしれません。
タカラベルモント社のEX-SD2Sです。
一口に治療用ベッドと言っても、恐ろしい程の種類があります（電動式ベッドに絞っても、一社で１４０種類以上！）
そんな中、このベッドにした理由は次のようなものです。
まず、電動式である事。電動式で昇降できる事には二つのメリットがあります。一つは、患者さんが乗り降りしやすいという事。もう一つは、治療する側にも優しいという事です。
座ったまま、または、かがんだままの姿勢で長時間治療をしていると、腰が確実に破壊されます。名人と謳われた、ここの建物の元の所有者S先生は、畳に布団と言う治療スタイルだったため、腰がやられて、そのまま引退を余儀なくされました。体を壊せば、良い治療なんかで来ません。電動式昇降機能は譲れない機能でした。
次に、垂直油圧式である事。同じ電動昇降ベッドでも、垂直式ではないこういうベッドだと、ベッドの下のスペースが使えて便利そうですが、昇降するときに、患者さんが手等を挟みかねない危険性があります。
対して、垂直昇降式なら安全です。また、油圧式は音が静かでパワフルで、昇降も安定していて良い事尽くめですが、値段が２倍くらいに跳ね上がります。
最後に、巾が60cmである事。これは、少し狭めの巾になりますが、うつぶせになった時、丁度、腕をだらんと下げられる巾になります。５０肩等で肩が辛い人には、この姿勢が楽なのです。
条件を求めるていくと、ただでさえ医療用器具は高いのに、さらに値段が跳ね上がります。しかも２台買う予定！！憧れのMacbookpro retina display 15inchモデルを軽く超えてしまうお値段です。しかし、モーパッサンに言われるまでもなく、ベッドは患者さんの全てを包み込むもの。妥協はできませんでした。子供の頃から、貯めていたお年玉貯金を解約し（貯金していた札幌銀行がとっくに無くなっていたのには驚愕しました。吸収合併した北洋銀行でおろせましたけど。）、なんとか買うことができました。
ベッドが入るとグッと治療院らしさが増しますね。
ベッドには、世界を変えるかもしれない不思議な魔力があります。患者さんの新しい人生が快気堂のベッドから始まる、そんな体験をたくさん生み出していけたらいいなと思っています。
