お魚くわえて

鍼治療が世界を変えるまでの記録

鍼灸師が臨床で感じる悩みを解決するための、最もシンプルで、最もパワフルな方法とは

鍼灸師の悩みを解決する方法は臨床研究

鍼灸師として施術をしていると、日々、色んな疑問が浮かんでくると思います。

 

「この症状に使うツボには2つの候補があるけど、どちらが有効なのかしら?2つとも鍼をした場合と、1つしかしなかった場合は、結果が違うのかな?」

 

「同じ症状で、同じ治療をしているはずなのに、結果が違うのはなぜなんだろう?」

 

「この症状は何回の治療で治るかな?」

 

「一番適切な通院間隔ってどのくらいだろう?」

 

こういった疑問を解消するためには、どうしたらよいでしょうか?

 

解決策として、

 

・先輩に聞いてみる。

・経験を元にする

・教科書・技術書を参考にする

 

などなどあると思いますが、最もシンプルで、最もパワフルな手段が「臨床研究」です。

医療の研究には大きく分けて2つある

鍼灸,臨床研究

研究と聞くと、白衣の優秀そうな人達が試験管を振っているイメージが湧いてきて、遠い世界の話のように感じてしまうかもしれません。

 

「いわゆる研究」のイメージとして大きな間違いではありませんが、でも、このイメージはどちらかというと基礎研究のものです。

 

医療に関わる研究は、大きく分けて、基礎研究と臨床研究があります。

 

基礎研究は、研究室の中で優秀そうな人達が、薬品やマシン、顕微鏡などを駆使してやっている「いわゆる研究」といった感じで間違いないのですが、臨床研究は、医療の現場で実際に行われていることをデータ化し、検証していくという、より医療者や患者さんに近い研究です。

 

もちろん、どちらの研究も重要ですが、急速な発展を見せる基礎研究が医療の現場とはかけ離れた領域にまで行ってしまいがちな昨今、より現場に近く、患者さんの利益にも直結しやすい臨床研究の重要性が高まってきています。

臨床研究は難しい?

鍼灸師が臨床研究するのは難しくない


そうは言っても、なかなか敷居が高いのでは?と感じるかもしれません。実は、そうでもないのです。

 

臨床研究は次のような手順で進みます。

 

臨床の疑問→研究の目的を決定→研究をデザインする→実際の臨床で記録する→データの検証

 

このうち、「研究をデザインする」のと「データの検証」が専門的な知識が必要で苦労するところです。しかし、鍼灸以外の分野では、同様の研究が数多く行われているため、そのデザインや検証方法を利用させてもらえばよいのです。(良く言えばリスペクト、悪く言えばパクリ、、、)

 

ここに、鍼灸の強みがあります。同じような研究デザインを利用したとしても、鍼灸の研究は少ないので、鍼灸をテーマにするだけで、オリジナリティの高い貴重な研究になります。

 

研究で最も重要なのは「臨床の疑問」です。研究はオリジナリティが重要視されます。鍼灸はマイナーな分野なため、私たちが当たり前のように臨床で感じる疑問が、オリジナリティの高い貴重な研究につながる可能性が高いのです。

 

医師のサポートで誰でも研究ができる

2020年3月8日に、JASTAC(日本鍼治療標準化学会)主催で、鍼灸師のための臨床研究講座を札幌で開催します。

 

医師であり、臨床研究の専門家である京都大学医学研究科の草島邦夫先生をお招きして、鍼灸師が臨床研究をすぐにはじめられるように、手取り足取り教えていただきます。

 

鍼灸師用に研究デザインをカスタマイズしていただけるとのことで、鍼灸師にとって貴重な機会になります。

 

また、受講していただいた鍼灸師の先生達が研究を開始し、データをとり、論文化して発表するまでのサポートを、JASTACに協力していただいている医師や研究者が行っていく予定です。

 

最低限、「臨床での疑問」があること、そして臨床でのデータを記録すること(通常の臨床でカルテに記載する程度の記録です)ができれば、研究ができます。

今まで、研究したことが無くても、大学に縁が無くても心配ありません。

臨床研究をすると何が起こるのか?

日々の臨床で悩みはつきません。

 

経験や教科書、先人のアドバイスを元に、自ら正解らしきものを決めて臨床に臨みますが、悩みはますます深くなります。また、そういったやり方では、ルーチンワーク化し、日々の臨床にトキメキを感じなくなってきます。

 

臨床研究を行うことで、日々の臨床一つ一つが意味のあるデータとなり、問題解決へ近づいていきます。ルーチンワーク化した臨床が、意義のあるチャレンジとして、輝きを取り戻していきます。

 

研究は、客観的に比較や検証を可能にするので、鍼灸師同士で協力しやすくなり、支え合ったり、切磋琢磨することも容易になります。

 

研究成果を論文化できれば、鍼灸の素晴らしい効果を、世界の医療関係者に届けることも可能になります。

 

臨床研究の成果は、鍼灸を取り巻く医療や政策を変えて行く力にもなっていきます。

鍼灸をとりまく現状

鍼灸院を含め、治療院のホームページを見ると「改善率◯◯%!」「満足度No1!」など、派手な宣伝文句が並びます。科学的根拠の無いキャッチコピーは、業界自体の信頼を損なう恐れがあります。また、行きすぎた売り込み合戦が問題視され、広告の規制が法的に検討されています。

 

臨床研究をすることで、こういったグループと一線を画すことができます。

 

また、研究内容を論文化し、発表することが出来れば、専門家としての業績となります。「こういった研究をして、こういった結果が出ました」という論文の内容をホームページに掲載することは、広告では無いので規制の対象にはなりません。無理して派手な宣伝文句をひねり出すよりも、業績を正確に報告することで、信頼が集まり、必要としている方の来院を促すことができます。

 

インターネットとスマホの普及で、専門家でなくとも、莫大な情報を得ることが可能になりました。玉石混交の情報の中で、特に健康情報に関しては、ますますエビデンスが重要視されるようになってきています。

 

太古から連綿と続いたきた鍼灸といえども、時代の波に無縁ではいられません。

 

治療の効果に、信頼性の担保が求められる時代は迫ってきています。今から研究データを積み重ねておくことで、時代のルールが変わっても、余計なことを心配せずに、臨床に打ち込める環境を手に入れる事が出来ます。

研究者から見ると鍼灸は宝の山?

昨年、北斗病院鍼治療センターでの臨床を草島先生に見て頂きました。その時、草島先生は「これは宝の山ですね!医療業界にインパクトをあたえられますよ!!」と仰っていました。その瞬間からはじまった、鍼灸師の臨床研究プロジェクト、どのような未来医繋がっていくのか、私個人も大変楽しみにしています。

申し込み方法

鍼灸師が世界に通用するエビデンスをゲットする方法】

 

2020年3月8日 14時〜16時

 

会場:札幌スポーツ&メディカル専門学校 札幌市中央区南1条西8丁目11−1

 

一般 ¥6,000 JASTAC会員 ¥3,000 学生 ¥2,000 

(参加費は当日受付にてお願いします)

 

申し込みは以下のリンクから申し込みフォオームを入力ください。

 

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鍼灸師用の臨床研究入門

JASTAC入会案内

JASTACは医療としての鍼灸を確立するため、医師や研究者とともに、鍼の標準治療確立を目指す学術団体です。

 

活動内容としては

 

・病院内での研修

・鍼治療の科学的研究

・研究データの共有

・医師を交えた勉強会

・臨床研究のサポート

鍼灸の周知活動

 

を行っています。

 

JASTAC会員入会については、以下のリンク先を参照下さい。

 

jastac.or.jp